マダニとダニって違うの?
マダニは普段私たちが耳にするダニとは別の種類です。
マダニは肉眼でわかるほどの大型のダニのこと。
野外に生息し、吸血のため動物に寄生することで、
さまざまな病原体を運ぶことがあります。
一般的にダニと呼ばれているのは目に見えない「微小ダニ」。
畳や布団などに生息し、アレルギーなどの原因となります。
私たちを脅かすダニ被害のほとんどは
マダニによるものなんです。
ここからはマダニについてさらに詳しく見ていきましょう。
マダニの種類
- フタトゲチマダニ
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生態 : 宿主域が広く、非常に繁殖力の強いマダニ。家畜や野生動物、ペットや人などに被害を及ぼし、放牧牛に多く見られます。
媒介する病気 : 犬バベシア症、日本紅斑熱、Q熱、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)など
- キチマダニ
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生態 : 宿主域が広く、犬を含め、様々な動物に寄生。幼・若ダニは鳥類やげっ歯類などに寄生します。活動期間が長く、成ダニは晩秋~初冬まで、幼・若ダニは夏~晩秋まで吸血活動をつづけます。
媒介する病気 : 日本紅斑熱、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)など
- ツリガネチマダニ
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生態 : 犬に多く寄生しますが、牛や馬、ネズミ、人などにも寄生します。非常に稀ですが、犬小屋や周囲の地面などにいることも。犬の脚に多数寄生すると激痛で跛行(フラフラ歩く)がみられます。
媒介する病気 : 犬バベシア症
- ヤマトマダニ
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生態 : 人に極めて多く寄生するマダニ。成ダニは大・中型動物に、幼・若ダ二は野ネズミに多く寄生します。
媒介する病気 : 犬バベシア症、日本紅斑熱など
- シュルツェマダニ
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生態 : 成ダニは牛や馬、鹿、犬、猫、人などに寄生。幼・若ダニはネズミや鳥類などに寄生します。マダニを介して起こる人獣共通感染症(ズーノーシス)の媒介者として最も重要視されています。
媒介する病気 : ライム病など
- タカサゴキララマダニ
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生態 : 日本産で最も大きな種類のマダニ(未吸血成ダニの体長は5~8mm)です。成ダニは大型家畜や大型野生動物を好み、幼・若ダニは犬の寄生例も多く、宿主域が広い種です。
媒介する病気 : 各種リケッチア、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)など
マダニの生態・ライフサイクル
犬の皮膚に寄生したメスのマダニは、充分に吸血すると産卵のため地上に落下します。
地上で生まれたマダニは様々な動物の血液を吸い、脱皮を繰り返しながら成長していきます。
春から夏にかけて成ダニが、秋から冬には卵から孵化した幼ダニや若ダニが活発になるように
季節を問わず、1年を通してマダニは活動しているんです。
- 幼ダニ
- 体長:約1mm
1週間~2ヶ月程度で卵から孵化した幼ダニは宿主に寄生し、2〜5日程度吸血を行うと落下します。その後、脱皮を行い成長します。
- 若ダニ
- 体長:最大で2〜3mm程度。
幼ダニと同じように3~7日間の吸血後地上に落ち、脱皮を行います。脱皮から数ヶ月後には新たな宿主に寄生できるほどまで成長します。
- 成ダニ
- 体長:3~8mm
動物の体温や二酸化炭素に反応して寄生します。数日~約2カ月間かけて吸血を行います。
- 飽血したメス
- 充分に吸血して大きく膨らんだメスのマダニは動物から地上に落ちて産卵を始めます。
その数は多い種では2000個以上!産卵を終えたメスのマダニはその生涯を終えます。
マダニってこんなに増えるの!?
ノミと同様、マダニも凄まじい繁殖力を持っています。
マダニが種類によって様々な環境で繁殖することができます。繁殖条件が揃っていると、
なんと1カ月で1匹から2000~3000個卵を生むと言われています。
マダニってどこにいるの?
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マダニはあらゆる草むらの中に身を潜め、
葉の裏や茎の先などから宿主となる動物を待ち構えています。
緑があればどこにでもいるマダニ。散歩や旅行に出かけるときには注意が必要です。